トールサイズ女子の恋【改稿】
 時刻はお昼時間で、普段なら総務課内でお弁当を食べるんだけど、この日は【もりや】でランチをしようと前日に幸雄さんとスマホのメッセージ機能を使って相談して決め、待ち合わせの場所をビルの裏手にして待っている。

 高坂専務が以前私に言ったように社内恋愛というのはプライベートと仕事の区別をしっかりとさせないといけないから、幸雄さんとは仕事モードとして会うことが多いけれど、忙しい中でこうしてランチの時間をとってくれる幸雄さんの行動がとても嬉しくて、この日を楽しみにしていた。

 まだ幸雄さんが待ち合わせ場所に来る気配がないので、時間を潰すためにスマホでK駅周辺のお店の情報を閲覧できるwebページを開くと、お店ごとの口コミを読みながら幸雄さんのことを思い浮かべた。

「いつかデートが出来るといいな」

 初めて幸雄さんの部屋へ泊まった翌日はどこへも行かずにそのまま自分の部屋に帰宅しちゃったし、幸雄さんに送ってもらった途中で私がお気に入りの地域として行くK駅周辺を案内する約束をしたんだけれど、いつ実行できるかなぁ。

 仕事の忙しさを知っているから残業後には誘えないし、やっぱり休みが取れる時期になるよね。

 お勧めのカレー屋さんは外したくないし、幸雄さんは『Clover』を作っているから洋服のショップとかにも興味あるのかな?食事だけじゃあっという間に終わっちゃうし―…、デートプランを考えるだけで口元が緩んで、まるで遠足前の準備でわくわくする子供みたい。

「美空、お待たせ」
「お仕事お疲れ様です」

 10分程して幸雄さんがビルの裏側にきて、2人で【もりや】に向かって歩き始めた。
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