トールサイズ女子の恋【改稿】
「先ず、我が社員が先週の交流会でそちらに大変なご無礼をしてしまい申し訳ごさいませんでした」
「本当だよ…」
「お前は黙ってなさい」

 高坂専務がお詫びを述べていることに対して元彼が小さく嫌味を呟くと部長が元彼に注意をし、元彼にも原因があるはずなのにちっとも反省をしていない態度だから、私から一言ガツンと言いたいけれどそんな勝手は出来ないからグッと我慢する。

「確かに手を出してしまったことは取り消しが出来ません。しかし理由なく手を出した訳ではないので、そのことは本人の口から説明させて頂きます。また星野をこの場に同席させたのは、今回の件に関わっていまして普通なら私たちだけで内々に話をするべきで同席をさせるのは有り得えません。が、私は星野の為にもするべきだと判断し、私の勝手ですがこのようにとらせていただきました」
「分かりました。お話を伺います」
「ありがとうございます。先ずは水瀬、お前からだ」
「はい」

 高坂専務が私が同席させた理由を述べると部長は納得し、高坂専務は幸雄さんに話すように促し、私はその隣でどうか幸雄さんの気持ちが青木印刷会社の皆さんに伝わりますようにと見守るしかできなかった。

 幸雄さんは一度深呼吸をして姿勢を正すと、青木印刷会社の人たちを真っ直ぐ見ながら口を開いた。

「先ず、この度は私のせいでご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんでした。私がそちらの方に手を挙げた理由は……、そちらの方が私の大切な人のことを侮辱したからです」
「大切な人?」

 幸雄さんは先に謝罪と共に頭をさげて再び頭をあげると今回の騒動のことを部長に簡潔にはっきりと理由を言い、幸雄さんの表情は真剣で言葉には曇りがなくて頼もしく感じた。
< 155 / 162 >

この作品をシェア

pagetop