トールサイズ女子の恋【改稿】
◆最終章:トールサイズ女子の恋
 私の平手打ちで幕を閉じた社内恋愛の騒動(ごく僅かの人限定)から数ヶ月が過ぎた冬の季節、カレンダーは12月の年末になっている。

 四つ葉出版社はカレンダーの暦通りに全ての社員は冬季休暇に入り、総務課では帰省する人が多くて課長も久しぶりに家族旅行が楽しめると張り切っていたけど、編集部では冬季休暇中には印刷所が稼働しない分の締め切りに追われていて、幸雄さんも連日の徹夜で大変そうにしていた。

 そして私はというと勿論帰省はするけれど、以前から約束をしていた幸雄さんとK駅周辺でデートをするため、今日は張り切って早起きしてクローゼットの中の服を全て出し、鏡をみながらあーでもないこーでもないと次々と服を充てる。

「やっとデートだと言えるなぁ」

 普段はランチなどの短時間しか2人きりになれないから、今日は丸1日幸雄さんといられるので、だからこそ女性らしい服装にしたいもの。

「どうしよう、もうすぐ電車に乗らないと遅刻しちゃうし。外は寒いけど、やっぱスカートがいいかな?」

 時計を見ると後10分までに決めないといけないから、本棚から先月号の『Clover』の雑誌を取り出してコーディネートのページを開くと、そこには『身長別!トールサイズ女子の最旬コーディネートはこれだ!!』という内容のページがある。

 これは私がWebアンケートで答えた内容を幸雄さんが雑誌に反映したら読者からかなりの反響があったらしく、身長別のコーディネートは今後もレギュラーで掲載することになったと幸雄さんから教えてもらい、私自身もこの身長別のページが出来てからコーディネートの幅も広がってきたように感じている。

 私が幸雄さんにお勧めしたいカレー屋さんに行くので服が汚れるから白色は却下して、ツインワンピースと呼ばれているトップスとスカートが合わさった物にし、脚は寒さ対策としてタイツを、靴はヒールの低い物を選んで、コートも羽織って大急ぎで駅に向かった。
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