トールサイズ女子の恋【改稿】
「良かったらさ、接待が終わったら別の場所で飲み直さない?」
「でも、青木印刷会社の皆さんと2軒目に行くんじゃ…」
「そんなに深く考えなくていいよ。元々この料亭で食事をするだけで、2軒目はないから」
「そうなんですか?」
「うん。それにあんなことをされたし、気分を変えるためにも、ね?」

 高坂専務は私が元彼にされたことを見てたから心配をしてくれていて、最後の『ね』っていう声には優しさが含んでいて、それが伝わって瞳がじわりと潤む。

「お言葉に甘えて…、ご一緒させて下さい」
「勿論!さっ、戻ろうか。皆が待ってる」
「はい」

 私は高坂専務と一緒に和室に戻る中、さっき元彼にキスをされそうになった時のことを思い返す。

 この場にいないと分かっていても水瀬編集長のことを思い出したのは、私の中の水瀬編集長の存在が大きくなり始めていたからで、きっと"あの"気持ちなんだろうか。
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