トールサイズ女子の恋【改稿】
 高坂専務と色々な話をしていると扉が開かれたので2人で振り向くと、そこに姫川編集長ともう一人男性が立っていて、その人は姫川編集長と同じくらいの背丈で、シンプルな白いシャツと黒いパンツ、前髪が目にかかっていて表情が読み取りにくい。

「姫川に仁(じん)じゃないか、こっちに座りなよ」
「ああ」
「……うん」

 高坂専務が手招いて2人は空いているカウンター席に座ると、三斗さんが姫川編集長の前に泡がいっぱいのビール、仁さんの前には琥珀色のお酒を置いた。

「あー、疲れた」
「……」

 姫川編集長は一気に泡がいっぱいのビールを飲み干し、その隣に座る仁さんという人はずっと黙りながら飲んでいて、何だか不思議な組み合わせな2人だな。

 水瀬編集長って今日は来れないのかな?でも来てしまっても、どんな風に接すればいいんだろう。

「姫川、水瀬はどうしてるの?」
「四つ葉を出る前に誘ったが、来月の原稿をやり直しをしたいって言ったから無理だな」
「そっかぁ、それは残念」

 高坂専務が残念そうにしてるけど、それは私も同じで顔には出さずに心の中で落胆する。

「決まりかけた特集があるのにそれを下げて別のを捩じ込んだから、ありゃ徹夜だろう」
「珍しいね。水瀬ってあまり原稿を差し替えないし、捩じ込むっていうのは余程のことじゃないかな」

 それを聞いた高坂専務はカクテルを飲み、腕を組む。

 水瀬編集長は普段から忙しいって言ってるし、体を壊さないといいんだけどな……。
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