世界に勇者はいないが、きっと愛はある
その愛が真実のものなら、それが引き起こすことは無限だろうか。

例えば、この場でそれを肯定すると仮定する。

人も獣もそのどちらでもない魔族も、
魔法も、ある程度の科学も存在する、
すべてをごった混ぜになった、広いその世界で、
彼女と彼の間にも愛が生まれた。

互いの、天と地のような高さもあるような立場の垣根を、越えて
互いの、地の果てと果てのように遠い世界を、越えて
ふたりは互いに強く惹かれた。

その愛が真実なら、どんな障害も越えられる。

世界が、石を投げるように、暴言を吐き捨てられ、
世界中から、研ぎ澄まされた刃物のような、冷たい目線で見られても、
世界が、巨人の手のような力で、ふたりを引き裂いても、
ふたりの気持ちは変わらない。

その愛が真実なら、世界を敵とせぬほどの強固なものだろう。

それを検証するために、ふたりの話を続けよう。

若さ故に、ふたりは世界に傷ついた。

だからこそ、彼は呪った。
自分たちを引き裂く世界に復讐を誓った。
そして彼は、王になった。

だからこそ、彼女は追いかけた。
二人の世界を夢見て、彼女は決意した。
そして彼女は、剣をとった。

それでも、互いを愛しく想ってのこと。

彼の、彼女の、笑顔が輝く朝焼けを迎えるために。
ふたりは戦うことを選択した。


その刃が、互いの首に突き刺さることさえ覚悟した上でのことだった。
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