キジョが恋しちゃダメですか?
薄っすらと朝日がすけるカーテンは薄緑色で、まったく見覚えがない。
差し込む光を反射する白い壁紙なんて、壁面のほとんどを本棚に占領されているうちではありえない。
そもそもあたしが今包まっていたはずのタオルケットなんて、毛布派の夫が要らないって言ったせいでうちにはないもののはずだった。
自分のうちじゃない、と認識できるまで僅かコンマ数秒。
じゃあ、隣で声を上げた人は誰?
夫じゃない、けどなぜかその相手に思い当たるものがある。
ひょっとして、でも違ったらどうしよう、てかこの記憶の飛びよう、絶対あたしの予感外れてる。
神様、と祈りながらあたしは恐る恐るタオルケットをめくった。
「……う、うわぁぁぁぁぁぁ……!」
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