キスマーク
「珍しいね、そんな事聞いてくるなんて」
「べ、別に……何となく思っただけ」
「今日はバイトがあって、バイト先からそのまま」
「バイト……?」
「夏休み期間だけだけどね。高校生の家庭教師」
バイトなんてしていたんだ、と思う。しかも家庭教師なんてちょっと想像がつかない。一応、医大生みたいなんだから高校生の勉強をみるのなんて余裕なんだろうけど―…まだホストとかバーでバイト、のほうがしっくりくる。
「疑いの目」
「う、疑ってなんかないわよ」
「真面目に勉強教えてるよ、俺はね」
「え?」
「今、みてるコが女子高のコなんだけど、教えてても直ぐ横道にそれるというか……買い物連れて行けとか、遊びに連れて行けとか色々煩い。今日も友達と待ち合わせしてるから、そこまで連れて行けとかで」
そう言うと私の胸に顔を当てて、はぁっ、とヒロが溜め息をつく。