キスマーク



まさかこんな形で食事をする事になるだなんて思いもしなかった。


麻里に今夜の件を話せば、「羨まし~い!」の連発。「明日の報告を楽しみにしてるから、頑張ってね!」と熱いエールも送られた。




その日の終業時間は19時。


常務から指定された待ち合わせの時間は20時だったから丁度良い。更衣室で着替えを済ませた後、会社を出てタクシーを拾い、お店へと直行する。


事前に常務から聞いていた“久瀬”という名字をお店の人に伝え、通されたのは一番奥の個室。


仲居さんが襖を開けると、そこには既に男の人の姿があった。


向かい合う形で座ると、



「では、直ぐにお飲み物をお持ちいたしますので」



そう言って、また襖を閉めて下がっていく仲居さん。







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