キスマーク
久瀬さんと並んで駅までの道を歩く。
ふと、ショーウィンドウに視線をやると、そこに映る久瀬さんと私の姿が瞳に入った。
きっと、周りから見れば私達は恋人同士に見える筈。
仕事帰りにデートする大人の男女。
並んでいても全然違和感を感じない。
ヒロとだったら、こんな風に違和感無く外を歩けない。
「どうかしましたか?」
「え?」
「何か考え事でもしている様に見えたので」
「―…ちょっと、仕事の事を」
全くの嘘だけど、他の男の事を考えていたなんて言えるわけない。昨日といい、今日といい、こんな風に突っ込まれるようじゃダメだ。