キスマーク



「シオリさんよりも年上?」


「そうよ」


「あんな風にスーツできめた男が好きなの?」


「そうね。ジーンズにTシャツでチャラチャラしたアクセサリーをつけた男よりはずっとね」



私の口から出る、明らかにヒロに対する嫌味。今、私が言葉にしたのは今日のヒロのファッションだ。



「―…」



また、ヒロが無言になる。けど、視線は私を捉えたまま。



またキツイことを言ってしまった……とも思ったけど、この位言って突き放すことが出来ないようじゃダメだ。



「でもね、さっきの彼、普段あんな風にスーツを着て仕事をしている人じゃないわ。お医者さんだって。大学病院の」


「医者……?」



「そう、医者」




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