キスマーク
「ふーん……」
微かに、ヒロの目つきが変わったような気がした。そんな瞳に私もつい一瞬だけ怯んでしまう。
「と、とにかく、私もう帰るから―…」
「帰るの?」
「当たり前でしょ」
「冷たいね」
「何時も通りよ……」
「最後に会った夜はあんなに縋ってくれたのに」
「―…っ」
ヒロからの言葉にかぁっと顔が赤らむ。今居るこの駅で、ヒロを探して、見つけて―…そして、彼の腕に従順に包まれた。
冷静になると、あんな風な姿をヒロに見せてしまうなんてどうかしていたのだと思うくらい、彼を求めてしまっていた。
けど、今夜はもう違う。