キスマーク



「抜かれるよーっていうか、抜かれてるね」


「だね……」



溜め息交じりで麻里が同意する。さっきまでのテンションはどこへやら、という感じ。



「まぁ、取りあえず今の私たちに出来ることは明日の合コンを糧に今日の仕事をやっつけちゃうことかなぁ~」


「今日、午前中の来客かなりあるでしょ?で、午後一で会議。あ、副社長の出張先のホテル、今日中に予約しとかないとマズイんじゃない?」


「そうそう。私、19時からエステ予約してるから、残業してる暇ないのよ……」


「19時……って、間に合うの?」


「間に合わせるの」


「もしかして、明日の合コンの為……?」


「アタリ」



「……」



麻里ってば、何時にも増して気合いが入ってるな……と、着替えながら思う私。


私よりも先に着替えをすませた麻里は、



「じゃ、私、先に行ってメールチェックするから」


“目指せ、定時!”



と、私に意気込みを語ると、素早く更衣室を出て行ってしまった。



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