キスマーク
「ヒロ―…?」
と、名前を口にするも疑問系になる。
だって仕方ない。目の前にいるヒロはヒロでも、私が見慣れたヒロじゃないもの。
髪は丁寧にセットされた黒髪。
服装なんてスーツ姿だ。
それに眼鏡までかけて―…
あの半端に伸びた茶色い髪の毛は?
何時ものラフな格好は?
普段はコンタクトなんでしょ?
「何……その格好―…」
何時ものチャラチャラした雰囲気のヒロじゃない。スーツ姿なんて始めてみるけど、妙に着慣れていて黒髪と眼鏡が似合いすぎてる。
歳だって実年齢よりももっと上に見える。
いきなり雰囲気をガラリと変えて現れたヒロを、ただただ呆然と見つめてしまう。