キスマーク



連絡が途絶えて、関係は切れたと思っていたのに、今度はいきなり私のマンションに雰囲気をガラリと変えてやって来て“他の男の所になんて行かせない?”



やめてよ……


そんな事を言われて、私が喜ぶとでも?



「迷惑だわ―…」



こんな所でヒロと立ち話なんてしている暇はない。早く、行かなきゃ……久瀬さんの所へ。


ヒロが乗ってきたタクシーは、こんな無駄なやり取りとしている間に去って行ってしまった。


タクシー、捕まえないと―…



そう思って、私はヒロの前を立ち去ろうとする。



そんな私を、



「待ってよ」



と、引き止めるヒロ。それでもヒロの言葉を無視して歩こうとすると、



「―…行かせない」



そう言って強く私を抱き寄せ、行く手を阻む。




< 188 / 207 >

この作品をシェア

pagetop