キスマーク
ブラウスのボタンを外していると、
「詩織、明日の件忘れないでよ?」
と、麻里が隣りから声をかけてくる。
「わかってるって。明日19時に駅前でしょ?」
「うん。ドタキャンなしだからね」
「しないって。大丈夫」
「ほんとぉ?」
「ほんと、ほんと」
そう麻里に言葉を返しつながら、髪の毛で何とか首筋をカバーできないものかとロッカーの内側に付いている鏡を覗く。
と、
「じゃ、詩織」
ポン、と何時の間にか着替え終わってしまっていた麻里に肩を叩かれる。
つい焦って肩をビクつかせてしまう私。けど、
「次あるから先に出るね」
“また明日!”
そう言うと、麻里は足早に更衣室を出て行く。何時もだったら就業後は、下まで一緒に降りて会社を出たり、時間があれば夜ご飯を食べたり……という感じだけど、今日は麻里に予定が入っていてくれて良かった、なんて思ったり。