キスマーク
「何か食べる?」
「どっちでもいい」
「じゃあ適当に頼むよ」
「どーぞ」
さっき食べてきたばかりだし、お腹は空いてない。けど、おつまみは何かほしいかも。フードメニューは「適当に」と任せる。
「煙草吸ってもいい?」
「どうぞ」
「シオリさんは吸わないの?」
「……吸わない」
今は、というか、ここ三年間くらいは吸ってない。禁煙したんだ。元カレ―…一哉が“彼女に吸って欲しくない”って、言うから。
けど―…
「一本ちょーだい」
ヒロに向かって掌を出す私。
「あれ?今、吸わないって」
「禁煙してたの」
「せっかくの禁煙、やめんの?」
「アンタに関係ないでしょ。後で一箱買って返すから」
煙草、と、出した掌を上下に動かして催促する。
ヘビースモーカーってやつではないけど社会人になってから、ストレス解消や仕事の息抜きなんかで吸うようになった。でも、一哉がやめてっていうから始めた禁煙。最初はニコチンが恋しかったけど、それはホント最初だけ。喫煙期間がそんなに長くないからか、意外とあっさりやめることが出来た。
せっかく三年間絶っていた煙草だけど、今は久しぶりに吸いたい気分。