キスマーク
店を出て、ネオン街を歩く私達。
こんな若い男とこんな時間にこんな場所を二人で歩いてる姿―…知り合いに見られるのは勘弁だな、なんて思いながらも、ヒロの進行方向に私の足が従う。
“どこ”に行くのかなんてヒロは口にせず、同じ様に私も“どこ”に行くの?なんて聞きはしない。
辿り着いた場所はラブホ。
ここが目的地だったことは暗黙の了解みたいなもの。そして、これからここで何をするのかも―…だ。
部屋に入るとアジアンテイストを取り入れた高級感漂う内装が視界に入る。まるで南国のリゾートホテルにでも来たみたい。最近のラブホは高級ホテルにも勝るとも劣らずっていう感じ。
ラブホに来るのはかなり久しぶり。
一哉と付き合っていた頃はホテルに行くって言ったら、こういう場所じゃなくてフレンチや高級中華付きの名の知れたホテルばっかりだったな……なんて、余計な事を思い出してしまったり。
「何か飲む?」
冷蔵庫を開いて、ヒロが私に尋ねる。
「いらない……」
と、返す私。立ったままも何だし、大きなベッドに腰をおろす。ヒロは何も取らずに冷蔵庫を閉め、
「じゃあ、何しよっか」
そう言って私の隣りに座ってくる。そんな事を聞いてくるヒロに、
「―…任せる」
とだけ伝えた。