キスマーク
今度は私がヒロの髪の毛をとる。
出逢ったときから変わらない明るい茶色。彼らしいといえば、彼らしい色だけれども。
「―…シオリさんはそういうのが好きなの?」
「私の好みの話じゃないわよ……眼鏡をかけると少しはインテリな感じがするから、他も合わせてみたら、ってこと」
「ふーん……まぁ何でもいいや。シオリさんから“似合うって”言われて嬉しいし」
「言わせたのはヒロでしょ……」
自分で言わせておいて、“嬉しい”って喜んでなんていないでよ。
「ねぇシオリさん」
「次は何よ……」
「明日は会社終わるの遅い?」
「……遅い」
「明後日は?」
「残業」
「じゃあ金曜日。たまには外で会って食事でもしようよ。金曜日ならいいよね?」
“外で会って食事”
ヒロからの珍しい提案。最近は殆どヒロの部屋で会っていたのに―…どうしよう、と迷う。