想いは硝子越しに
「未沙……っ!!」

頷いた瞬間のお母さんの嬉しそうな笑顔を私はきっと一生忘れないと思う。

今にも抱き着きそうな感じに私まで笑顔になって家の中が幸せムードで一杯になってたんだけど、その後にとんでもない爆弾が落とされた。

「よかったー、オッケーしてくれて!今から徹さん達来るのにダメって言われたらどうしようかと思ったわよ。」
「………はぃ?」
「ん?だからね、今から来るのよ、再婚相手とその息子が。ここに。」
「ここにっ!?」

これはどう反応したらいいんだろう…

お母さんの再婚には大賛成だけど、こういう場合改めて日にち決めて顔合わせするものだと思ってたのは私だけ?

どこかのレストランでガッツリお洒落してお見合いの様にお互い挨拶するのがドラマや漫画じゃ定番の展開じゃない。

それが再婚の事実を聞かされた直後に、心の準備も出来ないままに会うの?

無理。

私には絶対無理!!

「ちょっと待って!」
「何よ?」
「再婚には賛成だよ?だけど今の今って……心の準備出来てないし!」
「だ~いじょうぶだって!徹さん優しいから!」

私は慌ててどうにかお母さんの暴走を止めようとしたんだけど、すっかり浮かれちゃってて聞く耳を持ってくれない。

舞い上がってるお母さんは何にも考えてないみたいだけど、もしうちに向かってきてるっていうなら家に上がってもらわないわけにはいかないじゃない。

このさい私の心の準備は置いとくとしても今この家にあるのはたいして高くない徳用のお茶にインスタントコーヒー。

お茶だけで済むなら何とかお茶受けでごまかせるかも…いや、無理。今のうちには客に出せるようなお茶菓子はない!

一番心配なのはこの時間、うちで一緒に夕飯を、なんて事になったら………っ

今目の前にあるこんもり盛られた親子丼を振る舞う事に!?
そんな礼儀知らずな事は出来ません!!

「お母さん!相手の人に連絡して外で会う事にしようよっ!ねっ!?それが無理なら何か店屋物取ろう!すっごい豪華なやつ!!」

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