想いは硝子越しに
「何言ってんのよ?今からそんな事言ったって間に合うわけないでしょ?」
「いや、でもね……?」
「それにあんたが作った親子丼、勿体ないじゃない。美味しそうに出来てんだから食べてもらおうよ。……って、噂をすれば着いたかな?」
「え~~~っ!?」

どうにかこの家での顔合わせを阻止しようと必死な私をお母さんはケラケラ笑いながら宥めてくる。

押し問答みたいな会話を続けていたら不意にインターフォンの音が鳴り響いた。

さっきまでの剣幕は何処にいったのかと思うくらい私の声が出なくなる。

緊張して身体が強張ってどうしたらいいか判らない。

とにかく挨拶しなくちゃ、そう思って嬉しそうに玄関に飛び出ていったお母さんの後を追いかけると、お母さんの背中の向こうに見慣れない二人の男の人が居た。

「君が未沙ちゃん?」

恐る恐る近寄る私に気付いたのか、お母さんと話していた方の男の人が声をかけてきた。

「あ、はいそうです。」
「こんばんは。いきなり訪ねてすまなかったね。」
「あ、い、いいえっ!」
「やだ、この子ったら。さっきまであんなにいきなり過ぎるって吠えてたのに……」
「ちょっ、お母さんっ!?」
「ハハッ、それはすまなかったね。」

いきなり話し掛けられいっぱいいっぱいになってる私をお母さんがおかしそうに茶化してくるから思わずギロっと睨みつけると男の人は楽しそうに声を上げて笑ってる。

優しそうな人。きっとこの人がお母さんの言っていた徹さんだ。

という事はその隣にいるのが……

「改めて自己紹介させてもらおうか。私は河野徹。香織さんとは仕事場の同僚だ。で、こいつが息子の浩介。」
「………宜しく。」

徹さんが隣の男の子を見ながら説明してくれた。やっぱり彼が息子さんか。

年は18歳で私の2コ上らしい。背が高くて無造作にセットされた髪が顔の造りを際立たせてる。

格好いいな、と思った。

でも無口でとっつきにくそうだ。あまり自分から喋るタイプじゃないのかもしれない。

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