ずるいよ。
本音を言えば…


真面目にやらねーとオトナになって泣きをみるぞ、クソガキども! 


と、1度でいいから怒鳴ってみたいと思う。



なるべく無害そうに僕が表情を抑えていると、彼女は振り返り、


『はーい、ごめんね、センセ』


本気で謝ってるワケはないんだろうが、両手を合わせてニコッと笑われたら、悪い気がしないのが男というもの。


そう、教師も男なのだ。

古典の教師ではないが、“ぬばたま”やら“みどりの髪”やら…コレに僕は弱い。

プラス、うなじにこぼれおちた後れ毛を見ると、胸がざわめき始める。


彼女の黒髪と白いうなじと後れ毛のコラボレーションは、数学教師の頭から中学生レベルの数式すら奪い取ってしまう。



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