ダイス




「俺に言ってもどうにもならないだろ。上の立場の人間として何か言えって?」


紘奈が言いたいのはそういうことではないと分かっていながらも誤魔化してしまう。


「だから、そういうことではなくて……」


紘奈は予想通りの言葉を返してくる。


「だから、俺に言っても意味ない」


深水はそれだけ言って、紘奈の前から去った。


自分の過去と向き合えるのは自分だけだと思っている。


だから、自分が紗江子にしてやれることなど何もない。


それに向こうだって何かして欲しいなどとは思っていないだろう。







.
< 108 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop