ダイス
紗江子は細い紘奈の肩に手を置いた。
紘奈はそれに驚いたのか、肩を小さく上下させた。
相当緊張していたのだろう、紗江子を見る目はすがるようにも見えた。
「代わるわ」
紗江子が言うと、紘奈ははい、と答えて席を立った。
そして、戻ります、と告げてから頭を下げた。
「やっぱり、聞いてたんだ」
明良は目の前に腰を下ろす紗江子を見て微笑んだ。
何を考えているのか。
元々分からないが、今は更に分からない。
「今もマイクを付けてる」
紗江子はそう言って、紘奈と同じ造りのブローチを指差した。
分かっているなら隠す必要もない。
「話の続きをしましょう」
紗江子は明良の瞳を見て言った。
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