ダイス




紗江子は細い紘奈の肩に手を置いた。


紘奈はそれに驚いたのか、肩を小さく上下させた。


相当緊張していたのだろう、紗江子を見る目はすがるようにも見えた。


「代わるわ」


紗江子が言うと、紘奈ははい、と答えて席を立った。


そして、戻ります、と告げてから頭を下げた。


「やっぱり、聞いてたんだ」


明良は目の前に腰を下ろす紗江子を見て微笑んだ。


何を考えているのか。


元々分からないが、今は更に分からない。


「今もマイクを付けてる」


紗江子はそう言って、紘奈と同じ造りのブローチを指差した。


分かっているなら隠す必要もない。


「話の続きをしましょう」


紗江子は明良の瞳を見て言った。




.
< 233 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop