ダイス




「えっと……やっぱりこんなの、怪しい奴だよな」


明良はううん、と唸りながら視線をさ迷わせた。


「あ……じゃあ……」


「いいわよ」


紗江子は微笑みながら頷いた。


「え?」


「いいわよ、それで」


見掛けたら、ではなく、見付けたら、という科白が心に響いた。


それは自分を探してくれるということ。


なら偶然に任せて会うのも悪くはない。


どうせ、事前に約束したとしてそれを確実に守れる保証はない。


それなら会った時、というのでいい。


「本当に?」


「ええ」


紗江子がもう一度頷くと、明良はまた嬉しそうな表情をした。








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