冷たいアナタの愛し方
気になるものはどうしてもちらちら見てしまう。

普段何事にも興味を持たず冷静なジェラールは、シルバーをブラッシングしてやっているオリビアから目を離せないでいた。

…もちろん容姿も気に入っているが、それよりも…負けん気の強い中身に興味がある。

いつから奴隷になったのか…また今後もここで働くつもりがあるのか…


あの小さかった少女とはどういう関係だったのか?


「ルーサー遅いわね…。紅茶が冷めちゃう」


「…オリビアという女を知っていると言ったな。どんな女だ?いつまで親しかった?…男は居たのか?」


意を決して問うたジェラールに対して、当の本人オリビアは手を止めてソファに座っているジェラールを見上げた。

あまり詳しく嘘の話を考えていなかったのだが…ジェラールの青い瞳は嘘偽りを許さない光を湛えている。

良心が痛んだが、正体を明かさないと決めていたオリビアは、シルバーのお腹を背もたれにして床に座ると天井を見上げた。


「可愛かったわよ。男の子たちに人気があったし、気は強かったけどそこが逆に受けたみたい。最近まで一緒にお茶をしていたこともあったわ」


「…どこかの令嬢だったのか?」


「そうね、お嬢様だったわ。ちなみに私もお嬢様だけど」


少し情報を引き出せたジェラールは、あの少女が予想通りに成長していることに想像を巡らせて腕を組む。


「…男は?恋人は居たのか?」


「さあ。そこは聞いたことないけど、モテたのは確かね」


本当はそんな事実はないのだが、つい強がりを言って嘘をついたオリビアは、そっと上目遣いでジェラールの様子を窺って目が合うと、慌ててシルバーの首に抱き着いて顔を隠した。


「モテた、か……。あのじゃじゃ馬が?」


「失礼な。気は強くても可愛いし人気あったわよ。…あなたも知り合いならそれ位知ってるんじゃないの?」


「…まあな。とにかくオリビアの捜索は続ける。お前もオリビアに会いたいだろ?」


「そうね、そうなると嬉しいわね」


顔を伏せたまま顔を舐めようとしてくるシルバーを戦っていると、ルーサーが戻って来た。

そしてその手にあるものを見たオリビアは――思いきり首を傾けて声を上げた。
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