冷たいアナタの愛し方
オリビアはレイドを地下の自室に連れ込むと、鍵を閉めて息をついた。


「こんな所でごめんなさい。一応ここが私の部屋なの」


「部屋?部屋っていうか…牢屋と同じじゃないか。ああ今すぐ連れて帰りたい。駄目なの?」


心配してくれるレイドの気持ちは嬉しいが、ここには心残りが幾つもある。

両親たちが無事とわかればなおいっそうジェラールの即位式までは見守りたいと言う思いが強くなる。

ベッドに座って黙り込んでしまったオリビアの手を自然と握ったレイドは、近い未来ハルヴァニアの王妃となる予定のオリビアの髪をひと房握ってキスをした。


「私やっぱり即位式までは居たいの。あなたは国王でしょ?長い間国を空けてもいいの?」


「うちは優秀な人材が揃っているから大丈夫。君こそローレンを攻めたガレリアによく居られるよ。もし君が殺されていたら……私はこの国を叩き潰していた」


紛れもない殺意を露わにしてオリビアを萎縮させてしまったことに気付いたレイドは、尖った瞳を和らげて小さく頭を下げた。


「ごめん、でも本音だから。さっきも言ったけど、私としては君を妻にという話は本気だし、へスター国王陛下も承知しておられる。私のことが嫌いでないのなら…ぜひハルヴァニアに嫁いで来てほしい」


――真っ直ぐな瞳と言葉にときめいてしまったオリビアは、どぎまぎしながらレイドから視線を外して戸惑う。

歳は少々離れているが、政略結婚ならば範囲内だ。

ましてやレイドは政略結婚ではなく心から自分を望んでくれているとわかるので、無下に断ることもできない。

レイドはオリビアの肩を抱き寄せて頬にキスをして驚かせると、今度はまっすぐ唇を狙った。


目を見開いて驚いているオリビアの唇と唇が重なろうとした時――ドアが思いきり蹴られてものすごい音が轟いた。


「きゃっ!?ちょっと…な、何よ垂れ目馬鹿!」


「いちゃいちゃするな!ここで何をしていた?逢引きか?」


不機嫌まっしぐらで眉間にしわを寄せているジェラールの傍らには、呆れ返った表情をして佇んでいるルーサーの姿があった。

レイドにキスされようとしていることは理解していたオリビアは、そんな光景をルーサーに見られて動揺すると、ジェラールとルーサーの脇をすり抜けて駆け去って行く。


無性に恥ずかしくてやるせなくて――終始レイドに牙を剥いていたシルバーが追いついて来ると、ひらりと背に乗って城を飛び出た。
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