冷たいアナタの愛し方
なんとなく元気のなくなったオリビアを気にしながらジェラールの離宮に着いたルーサーは、ホットミルクを入れてやるとソファにオリビアを座らせた。

ちょうどジェラールが2階へ行っていたので、都合がいい。

未だにオリビアを“リヴィ”というただの女だと勘違いしているジェラールが居ると話したいことも話せないので、終始俯いているオリビアの隣に座ったルーサーは、睨みを利かせているシルバーの頭をぽんぽんと撫でてオリビアに話しかけた。


「ジェラールには正体を言わないままでいいの?」


「…必要ないわ。結局今も私がオリビアだって気付いてないし、私が言う必要もないわ。…だってもう縁が切れるんだから」


「縁が切れるなんて悲しいこと言わないで。僕は小さい頃君と知り合った時に、ジェラールとお似合いだなって思ってたんだ。だから…」


「私とジェラールがくっつけばいいと思ってるの?冗談じゃないわ、やめて!」


思わぬ激しい抵抗に遭って閉口してしまったルーサーは、本当にオリビアが怒っているように見えて、手を優しく握った。


…好かれているのではないか、と時々思っていたが…

それが勘違いでないのならば…嬉しく思う自分が居るのは事実。

彼女はジェラールではなく自分を選んでくれている――


あの完璧なジェラールを選ばず、自分を…


「…ごめん。君の気を害するつもりじゃ…」


「…私こそごめんなさい。私がジェラールのお嫁さんって…ガレリアに嫁げってこと?いやよ、私はローレンに戻って…それなりの人と結婚して幸せに暮らして行くの。私は…それでいいのよ」


「じゃあハルヴァニアのレイド王にも嫁がないってこと?」


「それは……レイドはお父様たちと懇意にしてるからすぐには断れないわ。…ルーサー、あなたに関係ないでしょ?私のことは私自身でどうにかするから、あなたはジェラールの即位式のことだけ気にしていればいいのよ」


…その言い様にむっとしたが、正論だ。

互いに黙り込むと、シルバーはオリビアをさっと攫ってベッドに連れ込んでごろごろ甘えまくっていた。


「…関係ない、か…」


存外に傷つく言葉だった。
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