冷たいアナタの愛し方
「ねえ、私ね…秘密があるの。知りたい?」


「…ルーサーが好きっていう秘密か?」


「違うわよ馬鹿!ものすごく…ものすごく大切な秘密よ」


ぐいっとグラスを呷ったオリビアは、隣で心配そうに鼻を鳴らしているシルバーのふかふかの毛に顔を埋めて訊ねた。

だがジェラールは黙ったままで、顔を上げるとやはり不機嫌そうな。顏で腰を上げると真正面のソファに移動した。


「秘密とは誰にも明かしてはいけないという意味だ。それを俺に明かすことで楽になりたいのか?」


「楽っていうか……そうなのかな…わかんない」


「重たい秘密なら俺は共有したくない。そういうのはルーサーに明かせばどうだ。秘密の共有という新たな関係を築けるぞ」


そっけない態度。

どこか何やら吹っ切れた様子のジェラールが以前のように顔を見ようとしない。

何かいけないことを言ったりしたりしたのかと酔った頭で一生懸命考えたオリビアは、またジェラールの隣に移動して膝を叩いた。


「私…あなたに何かした?いつものジェラール坊ちゃんじゃないわね」


「…お前が酔っ払っているからだろうが。さっさと下に戻って寝ろ」


「小娘扱いしないでよね!いずれはハルヴァニアの王妃になるかもしれないんだから」


「……お前のことなんかどうでもいい。…俺はオリビアを捜す」


――オリビアはぽかんと口を開けてジェラールの切れ長の瞳を覗き込んだ。


何故ジェラールはこんなにも懸命になってオリビアを…自分を捜そうとしているのだろうか?


幼い頃に少しだけしか過ごせなかったのに――何故?


「オリビアを捜して…どうするの?」


「…生きているかどうか、今はそれだけ知りたい。お前もローレンに戻ったら捜索を手伝え」


「ふーん、わかったわ。…あなたやっぱり本当の馬鹿ね」


皮肉を言ってグラスを置くと、シルバーと共に階下へ戻った。
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