冷たいアナタの愛し方
早速レティという味方を得たオリビアは、奴隷たちのリーダーである彼女のおかげですんなり輪に加えてもらえると、一緒に皿洗いをして冷たい水に飛び上がっていた。


「冷たい!ふう…奴隷って大変なのね…。食事はもう済んだの?」


「これからですけど…見て驚きますよ」


ひそひそと言葉を交わして皿洗いが終わった後にようやく食事にありつけるとあってお腹ぺこぺこだったオリビアは喜んだが――自分たちの食事はもちろん自分たちで作らなければならない。

今日は見学だけでいいと言われたのでレティたちが料理している様子をずっと見ていたオリビアの目はどんどんまん丸になった。


「え…これだけ?」


「これが私たちの食事だから。運が良ければ時々余った食材で豪華なものも食べれる。でも普段はこれだけよ」


出されたのは、小さな丸いパンがふたつと、コーンスープと目玉焼きのみ。

お嬢様として育ったオリビアの食卓にはいつも果物だったり肉だったり十数品が並んでいたので、その違いに驚いたが――これが普通だとレティに言われて椅子に座り、肩を竦めた。


「食べれるだけありがたいわ。頂きます」


あたたかいスープを口に運びつつ、狭い食堂に集まった奴隷たちを不躾にならない程度に眺めてみた。

奴隷とはいえ皆どこか洗練されているし、外見も普通もしくはそれ以上の者が多い。

王族と接する機会が多いので当然のことと言えたが――やはり奴隷制度には反対だ。


「この後お風呂に入れるわ。連れて行ってあげる」


「ありがとう。お風呂にはちゃんと入れるのね」


「綺麗にしていないと、ウェルシュ様の機嫌が悪ければそれだけで殺されることもあるわ。あいつは丸々太った悪魔よ」


みんなでぞろぞろ風呂場に向かい、男子と女子に別れた入り口で安心したオリビアだったが…人前で着替えるのははじめてだ。

少しまごついていると、レティが小さな声で提案を持ちかけてきた。


「寝静まった頃、あなたがひとりで入れるように時間を作ります。お任せください」


「いえ、いいわ。私だって覚悟を決めてきたのよ。それにみんなで入るのは楽しそうだし」


お嬢様らしからぬ発言に苦笑したレティはオリビアに好感を持ち、脱衣所で一緒に服を脱いだ。
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