「同じ空の下で…」
小学校も中学校も普通の地元の公立だし、
隣町の学校まで毎日のように誰かに送り迎えをしてもらっていた兄貴とは違って、

学校行く時も帰る時も常に自分の足で歩いたし、
ずっと自由で自分のやりたい事なんて、
本当に自由にさせてもらって生きてきたし…
中学や高校でも普通に友達と付き合うし、
それなりに彼女なんか作ったりして遊び呆けて…。

俺は俺なりに今までの自分に満足している。

こんな風に、生き方自体に俺と兄貴には雲泥の差があるっていうのに、親父とじいちゃんは、俺に兄貴の身代わりをさせはじめた。

俺の意思などそこには無かった。

高卒の俺なんかを跡取りにしようなんて、どうかしてるな、この人達。
そう思いながらも、嫌になったらやめればいいかと軽く受け止め、
高校卒業後、俺は家業の経営に携わり…現在に至る。




「ジェームスさんには、ちゃんと返事をしたのか?」

じいちゃんの隣で、さっき運ばれてきた料理を堪能しながら、親父が口を開く。


ジェームス。

一年前に俺の親父を訪ねてきた、白髪交じりの金色の髪の毛と青い目を持つ男。

親父が外国に留学していた時の恩師だったと聞く。

「瞬の事を酷く気に入ってる。ぜひ、自分のプロジェクトのクルーとして招き入れたいそうだ。」









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