「同じ空の下で…」
そうだ、本当、重大な問題だ。

「だから、彼女と離れたくない、それが俺の本心です」


「…そういう相手が居る事は実にいい事だが、プロジェクトの中に君が居ないという事はとても残念だ…。」

「せっかく声をかけて頂いて居たのに、すいません…。」


そう言ったのに、どこか、何かが欠けたような虚しい気持ちになる。


「…彼女とも良く話し合って、良い結果を出してくれないか、瞬。」


「この話を…彼女に話すつもりは…。」


そうなんだ、艶香に話せる訳がない。


お前なら、なんと言ってくれるのだろう…。


「その人の為にも…一緒にプロジェクトに参加して、私を助けてくれないだろうか?互いに確たる愛情があれば、君たちはこの状況を乗り越えられる筈だ。ただ、二人はまだ始まったばかりだと言うなら…それはガラスのように脆い。そこが心配でならないが…。僕の主張は変わらない。瞬、どうか僕に君の人生を預けてくれないだろうか?」


刺すような目でそう言うジェームスに、俺は圧倒された。



こんなにも自分を必要としてくれる人間に、今まで出会った事があっただろうか?




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