「同じ空の下で…」

瞬は、また、何も言わずに私を抱きしめた。


私は相変わらず、泣き続けていた。

声を出して、子供が泣くような…なんともみっともない泣き方で彼の胸に抱かれていた。


「…素直に…泣ける艶香が…羨ましい…」


私の頭に響く、瞬の優しく、低い声・・・・。


鼓動と一緒に聞こえるその声に少しずつ、落ち着きを取り戻していく。



「…泣くな…?」


「・・・・瞬が…そんな顔するから…じゃない…」


「…ああ、全部俺のせいだ…。だから、泣くなよ…」


優しく髪を撫でてくれる瞬の大きな手…。


「…哀しそうな顔してる…瞬に…私はどうしてあげたらいいのか…分からなくなっ…」


「…うん。ごめん…艶香…責めるような事…」



「…あやまんなくていいから、…瞬、いつもの顔…してよ…」


「うん、マジで…ほんと…ゴメン…」


「ばかぁ・・・・!!!」


「…バカは余計…ダ。」


そういって、瞬は私を抱いていた手でそのまま私の肩を掴み、自分の胸から引き離すと、私の顔を見た。


瞬も…同じように、頬に涙を伝わせていて、

…我儘に身勝手に言いたい事を言って泣いていた自分を反省した。


「…タオル…取って?」







< 204 / 646 >

この作品をシェア

pagetop