「同じ空の下で…」

フェイスタオルを受け取り、ぐしゃぐしゃになった自分の顔を私はタオルで拭った。


「…へんな…顔…っ」


瞬は自分の涙を隠すように、私から顔を背けた。


「…シャワー浴びてくる…」

私も私で、瞬にこれ以上、化粧が剥がれ落ちたみっともない顔を見せたくなくて、バスルームへ逃げる様にして向かった。



私が終わると、瞬が入れ替わるようにして無言でバスルームへ入って行く。


瞬がシャワーを浴びている間…色々な事が頭を巡った。



瞬が悲しんでいる時、私はどうしてあげたら良かったんだろう・・・・。



自分が逆に泣いて…バカだなぁ…とか。

言いたい事言いすぎたなぁ…とか…一人反省しながら、髪の毛をタオルドライしていた。




バスルームから瞬が戻ってくると、また一言、


「艶香…さっきは本当にごめん…」


瞬が謝ってきた。


「私こそ…ごめん。」



私も素直に謝る。




その晩は、楽しいキスの続きもなく、私たちはそのまま眠った。

いつもと違うのは、瞬と私が逆の体制だったこと。

いつもは、私が瞬にしがみつくようにして、大好きな厚い胸板に顔を埋める様にして腕枕に酔いしれながら眠るのに、

今夜に限っては、瞬は私の胸に顔を埋め、しがみつくように眠った。


淋しさが彼を取り巻いているのが手に取るように分かった。

そして、これから先への不安とか孤独とかが、瞬にあんな表情をさせていたのかもしれない。





< 205 / 646 >

この作品をシェア

pagetop