「同じ空の下で…」
さっきまではひどく感情的になっていて、汗が出そうなくらいだったのに、いざ冷静になり独り夜道を歩くと、外は完全に冬の夜空だった。
重い荷物を従え、どう見ても家出しましたっていう、風貌の私。
アスファルトに一粒づつ、水滴をしたたらせながら、行くあてもなく歩き続けた。
駅を目の前にして、やっと人が多い場所に着き…堰を切ったように涙が溢れて止まらなかった。
ベンチに座り、一人泣き続ける。
人の目も憚らず、ボロボロと声を殺し泣く。
その涙の意味は、分からない。
悔し涙でもあり、なんだか感情的な自分を鎮めるための手段のような…
大きく息を吸い込み、涙をふくと、電話を取出し、実家へ電話を掛けた。
「…今日、そっちいってもいい?」
「つやか…どうしたの?」
「帰ったら…話すから…」
「そう、分かった…気を付けてね。」
「…うん。」
電話を切ると、駅前のターミナルに向かい、バス停留所に足をすすめた。
幸い、まだ最終のバスは出て居なかった。
実家へのバスの中、私は放心状態だった。
バッグの中で、ブルブルと震える電話。
見ると、亮太からだった。
電源を落とすと、また、外の景色を眺めた。