「同じ空の下で…」

・.━━†side瞬†━━.・

□ ・.━━†side瞬†━━.・





「この度は、我々へのご支援ご協力を賜りまして大変ありがとうございました。お蔭さまで無事に祭典を盛り上げる事が出来ました。」

白髪のおじさん…(肩書き的には社長さん)にそう述べると俺は、ビジネス用語で言う「最敬礼」をした。

「瞬君、頭を上げてくれ。君達の力になれて僕は幸いだと思ってる。お礼を言いたいのはこちらだよ。君の活躍、見せてもらったよ。久々に鳥肌が立つような感覚を貰って、僕は若返った気分だった。感動をありがとう。」


人の良さそうな顔で、おじさんは優しく俺の肩に手を置いた。

「社長、充分お若いじゃないですか。」

体を曲げたままの体勢で、俺はおじさんの顔を見上げた。



・・・・────馬鹿みたいに晴れて暑い位の月曜日。

イベントに際しての出資をしてもらった会社を一件一件廻っていた。

冬の間ずっと倉庫に眠っていたバイクも今日はフル稼働している。

この会社でやっと16件目だ。

「お忙しい所、時間を頂戴してすいません。これ、良かったら使ってください。では、失礼します。」

そう言い残すと、熨斗がかけられた白いタオルを手渡してその会社を後にした。

親父と同級生のその会社は、小さな町工場だった。



外に出ると太陽がやたら眩しい。

思わず目を細めて、サングラスをスーツの胸ポケットから取り出す。

サングラスをかけると颯爽とバイクに跨った。


「どうして昨日、こんな風に晴れてくれなかったんだか…」


独り言のように呟き、エンジン音を響かせる。

…やっぱ、艶香は雨おんななんだな。

何とかこらえて昨日は雨は降らなかったけども。

昨日、こんな天気なら、バイクで色々行けたのに…。


蒸れそうになりながらもヘルメットを被ると、そのまま次の会社へと向かった。






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