「同じ空の下で…」
「もう、次に行っちゃえ!何があったか知らないけどさっ」
「んふ、そだね…。」
そんな姉妹のやり取りを目を細めながら見る母。
「…後で、ちゃんと話すから…」
「うん。」
「今日は…もう休むね。」
「うん。ゆっくり休みなさいね。」
席を立ち、自分の部屋に荷物を運ぶと、懐かしい匂いのする自分のベッドに横たわった。
電源を入れ、電話をみると、数十件の亮太からの着信。
深く、ため息をつく───…。宙を見ながら、半ば放心していた。
その時、ドアをノックされ、同時に母の声が聞こえた。
「ほっぺた…、冷やしなさいね。ここにおしぼり置いとくから…」
「…うん。ありがと」
叩かれた直後はジンジン痛みを感じて、熱を帯びていたその頬は、冬の木枯らしにさらされ、すっかり冷え切っていた。
ドアをあけ、おしぼりと夜食ともとれるような小さなクッキーが乗せられたトレーを部屋の中にいれ、冷たいそのおしぼりを拡げると顔全体を覆った。
気が付けば朝。
電気をつけたまま、そのまま私は眠っていた。
今日が土曜日でよかった・・・・そんな事を思わせたのは、目覚めた時刻が既に9時を過ぎていたからだ。