「同じ空の下で…」

…瞬て人は…本当に忙しい人だなぁと思いながら、瞬にされるがままに身を預けてみる。

寝起きの瞬の手は温かくって、抱きしめられた腕の心地良さに、思わず眩暈するかのように頭がクラクラした。

寝起き顔の瞬は、寝ぼけた眼をしていて、ちょっとだけ子供っぽい。



「…さて。艶香の部屋に行きますかっ♪仮眠もとったし。」

「…あの…どういう意味でしょう…?」

「何をしてもされても恥ずかしくない場所に行こう♪」

「…私の部屋をなんだと思ってるのよ…。」

「愛の巣窟♪」


・・・・悔しいけど…その表現は、確かにその通りで…。

何か言い返してやりたいけど、何も適切な言葉が出てこなくて、一人で口をパクパクさせていた。

「冗談だよ。すぐ真に受けるんだから、艶香は。」

手を離し私から離れると、瞬は起き上がって大きく伸びをした。

私も起き上がると、身体についた枯草などを払い落とした。



公園を後にすると…また2人で肩を並べて歩く。


今日が…日本での最後のデート…かもしれない。


そう考えると、背筋をピンと伸ばして堂々と瞬の横で歩いて居なければいけないような気がして、いつになくお利口さんにして彼の横を歩きながら、腕を絡めた。

< 305 / 646 >

この作品をシェア

pagetop