「同じ空の下で…」

タクシーの手配を済ませた2人は、そのあと10数分でその部屋から姿を消した。

そして取り残された私と高梨准一。

2人を見送り、また先ほどの席に座り直すと、自分のお膳に目線を落とし、言葉を探し始めた。


「…こんな事してて、大丈夫なんですか?」

私は慌てて高梨准一の顔を見上げる。

「えっ?」

「彼には、今日の事は何と?」

「あの…、仕事だと…。本当にここに来る理由が直前まで知らされなくって。来る時に乗ってきた社用車の中で『お見合い』だと常務から言われて…それで…」

私は必死に言い訳をした。

「僕も、正直驚きました。だけど、またお会いできて光栄です。」

私の顔を真っ直ぐに見て、微笑む高梨准一の眼差しが、やけに眩しい。

真剣な瞳だというのに、表情は柔らかく、誰が見ても分かり易い『内面からの笑顔』というのに相応しい笑顔だった。

うかつにも、胸がドキドキしてしまう。

「…ほ、本当に知らなかったんです…よ?高梨…」

「准一でいいですよ」

「じゅ、准一さんがここに来られるなんて…知りませんでしたし…お見合いだったなんて…会食と聞かされていて、それで…。」

…こんなみすぼらしい格好でこの場所に居るわけで。
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