「同じ空の下で…」

「よっ!」

玄関を開けると、少しだけ目が腫れぼったく、疲れた表情の瞬が居た。

だけど、無理に笑ってるようにも見え、元気そうに振舞っていた。

「…よっ!」

同じように浮かない顔で、無理に笑顔を作り…同じように私も返す。

瞬の大きな右手の平が私の頭の上にポンッと置かれ、思わず目を瞑りながら肩をすくめた。

そのタイミングで、靴を脱いで小さく呟くように「おじゃましま~っ・・・・」そういいながら、私の頭をくしゃくしゃとした後、余韻を残しながらソファに座った。

「…お、お帰り」

言わなきゃいけないっと思って、咄嗟に口にした言葉に、瞬は笑いをこらえるような顔で

「…た、ただいま…」

と、馬鹿にした様に、声を立てずに笑った。



「とりあえず、告別式が終わったし、初七日もまとめてやったので…一周忌…ぐらいかな…」

「…そっか、お疲れ様でした…」

「あ、艶香も…告別式に来てくれて本当、ありがとう。」

「…ううん。そんな…礼を言われる程の事じゃ…」


ちょっと…いつもと調子がくるってるな…と自分でも思いながら、瞬にこれから話す大事な話を切り出すタイミングを探していた。

「…いつ、帰るかな…あっちに…」

「帰るって…こっちが、日本が瞬の帰る場所じゃないの。」

「…だな。何言ってんだ、俺。」
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