Storm -ただ "あなた" のもとへ-
10.火嵐

  *

今回はダバリード主催のパーティーの為、さやかに任せておけばいいので気楽だった。

とはいえ自分を含め、各部門のトップが勢ぞろいのため、無様な姿は見せられなかった。


「なんでこんなにパーティが好きなんだ」


エスコート役のルークに愚痴るように呟く。

ルークは秘書のうちの一人だ。

若いが淡々としているのが気に入っていた。

身のこなしも顔も悪くなく、品があった。


「そうですね。
 コネクション作りでしょうか」


優等生の答えに綺樹はため息をついた。


「そうだな。
 少し休んでくるよ」


ちょっとトイレに行くような様子で会場を滑り出ると、所用のためにとってある部屋へ歩き出した。


「綺樹」


その日本語的発音の呼びかけに、衝撃を受けて振り返った。
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