この恋は、絶対に秘密!
そのまましばらくまどろんでいたけれど、こうしてはいられないと身体を起こした。

岬さんを起こさないように、そっとベッドから出て下着と服を身につける。



──結局、何も言わずに逃げる私を許してください。


身体の関係を持ってしまった以上、前のようには戻れない。

忘れられない人がいる岬さんとは恋人には決してなれないし、かと言ってセフレという立場にはなりたくない。

だったら、私は正体がバレないまま姿を消すしかないから。



臆病でズルい私は、昨日の抱かれた記憶を綺麗なまま持って帰りたいの。

そして、全部私だけの胸の中に秘めておきたい。

絵瑠として過ごした日々の全部を思い出として仕舞って、この恋心にも鍵を掛けよう──。


そう決めて、私は荷物を纏めたバッグを手に立ち上がる。


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