この恋は、絶対に秘密!
後ろから抱きしめられているような感覚と、耳にかかる吐息のせいで私は料理に全く集中出来ない。



「あの、未来くん…」

「そしたらフライパンを傾けて、右手で柄を持ってる左手をトントンっと叩いて卵をひっくり返してやると……」



やっぱり離れてよ、と言いたい私なんかはお構いなしで、シェフの日詰 未来(ヒヅメ ミライ)くんは器用にフライパンを操る。

そして、隣に置いておいたお皿に素早くオムレツを乗せ。



「はい、出来上がり!
ふわふわとろとろの極上オムレツ~♪」



と、お皿を片手に小首を傾げて、にっこりエンジェルスマイルを私に振り撒いた。



「だーかーら!!
いつも言ってるでしょ!集中出来ないって!」



ようやく離れた未来くんに私の怒号が飛ぶのはいつものこと。


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