この恋は、絶対に秘密!

昨夜の情事を思い出しながら、ソファーに座って紫煙をくゆらせる。

一人になってからまた吸い始めてしまった煙草は、動揺した時や気を落ち着けたい時に手が伸びてしまうようになっていた。



……彼女がいなくなって、こんなにも空虚感に襲われるなんて。

予想以上に、和久井さんは俺の心に住み着いてしまっていたらしい。



元々ふらりと俺のもとに現れたのだから、また猫のようにいつ姿をくらましても不思議ではない。

正体も家もわかっているのだから、これで本当に会えなくなったわけでもないし。



だが、傷付けてしまったであろう彼女に会いに行く勇気が、今の俺にはなかった。


自分の欲望のままに抱いて、その結果彼女は俺のもとから姿を消した……

それが答えじゃないか。


結局俺は、愛しい人を傷付けることしか出来ない男なのだ──。








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