この恋は、絶対に秘密!
中にまだ人はいない。

普段はテーブル席があるだろう場所に、料理を並べるための大きくて長いテーブルが設置されている。


奥へ進むと、洋酒の瓶やアンティークの小物が置かれたカウンターがあった。

そこから厨房に繋がっているらしく、中からは人の声と調理をしている音が聞こえる。


ここにいるかな……?

カウンターから覗き込むように身を乗り出すと、白いコックコートに身を包んだ未来くんの姿が見え、咄嗟に呼び止めた。



「未来くん!」



振り向いた彼はかなり驚いた様子で目を見開く。



「……瀬奈ちゃん!?」



持っていた大きな銀のボウルをドンッと台に置き、急いでこちらに向かってくる。

シェフの姿はやっぱりとても格好良いけれど、慌てた様子がおかしくて少し笑ってしまった。


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