この恋は、絶対に秘密!
……そうだよ、お世話になるのは今日だけなんだから。

さすがに明日は家に帰らなきゃいけない。

……帰りたくないけど。



「聞いたとこ娘想いのお父さんなんだろうし、ちゃんと落ち着いて話せばわかってくれるんじゃないか?」



岬さんはいつになく優しい声色で、目を伏せていた私に語りかけてくれる。



「本当に娘の幸せを願ってるなら、君の意見にも耳を傾けてくれるはずだよ。だからきっと大丈夫」

「……はい」



岬さんに言われると本当に大丈夫な気がして、私は素直に返事をしていた。


初めて逢った日のように、彼の言葉には私の心を安心させてくれる作用があるらしい。


岬さんは微かな笑みを浮かべると、私の頭をその大きな手の平でぽんぽんと優しく叩いた。


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