信じる気持ち
☆8年の時を得て☆
私には7年間好きな人がいた。
9歳年上のすごく笑顔も性格も優しくて、一緒にいてとても楽しい人だった。
その人は南側で私は北側の方に住んでいる。
7年も会っていない。
離れて気づいた。
好きだってことが。
一時的な感情ではない。
9歳の頃からあの人を想い続けている。
人生の半分近くもあの人を思っている。
いくら9歳も年が離れていても、誰に何と言われても、本人が私のことを忘れていても私はあの人を想い続ける。
私とあの人の関係は、親の幼馴染の子供同士。
あの人、じゃなくて夏希兄さんには妹がいて2人の両親と4人で千葉に住んでいた。
夏休みには毎年私が住んでいる秋田に遊びに来て妹と一緒に私の自宅に泊まりに来ていた。
でも、もう社会人になった夏希兄さんはもう来てくれなくなった。
それはそうだ。
もともと別々のところに住んでたから。
それはしょうがないと思ってた。
会いたいっていう気持ちは強くなっていくだけだった。
7年前、私は9歳で夏希兄さんは18歳の夏。
兄妹で私の家に泊まりに来た。
私の姉と夏希兄さんの妹は同い年で仲がいい。
2人が家にいないとき、私は夏希兄さんと家に2人きり。
私はテレビを見てて夏希兄さんがいなくなったのに気づいた。
探しに行ったとき私の部屋に仰向けで寝ている夏希兄さんを見つけた。
「何してるの?」
「寝てたの~」
眠そうに夏希兄さんが答える。
「そっか~」
「美緒(私)ここに座って?」
私は夏希兄さんに腕を引っ張られ足を伸ばして座った。
「何するの?」
「マッサージしてあげる」
夏希兄さんはいきなり電気を消した。
私は仰向けに倒され、私の体の上に何かが乗っかった感じがした。
心臓の音が聞こえる。
私の心臓と夏希兄さんの心臓の音が。
そして暖かく柔らかい夏希兄さんの唇がそっと重なる。
「美緒のこと好き?」
「好きだよ」
すっごく優しい声。
7年も経ったのに忘れることができない。
これが私の初恋とファーストキスだったから。
7年間の間で、夏希兄さんのことを頭の片隅に置いて別の人に恋をしたこともあった。
でも、存在が大きすぎて忘れることができなかった。
とっても悔しかった。
どうしても忘れることができない自分に腹が立った。
私は夏希兄さんに、8年間の想いを伝えようと思った。
私はいろんなブログやチャットで夏希兄さんを探した。
全然見つからなかった。
私は友達の家に遊びに行くついでに夏希兄さんのおばあちゃんから携帯の電話番号を教えてもらうことができた。
教えてもらってすぐ、私は夏希兄さんに電話をかけた。
心室中隔欠損症という心臓に穴があいていて、音の中に雑音が聞こえるという病気を持っていた私の心臓が怖いくらいバクバクと動いて音も高鳴っていた。
しかし出ることはなかった。
それはそうであろう。
今日は平日で普通に社会人が働いている時間に電話をかけてしまったのだから。
待ちきれなかった。
友達は、私が彼のことが好きなことを知っている。
私は嬉しげに、そして不安そうに話しかけた。
「ね!美緒ね~、夏希兄さんの電話番号ゲットしたんだ~!やばい、めっちゃ嬉しい~!でもさ~もし性格悪くなってたり、見た目変わっちゃってたらどーしよ~」
「ど~だろうね~。後で電話来るんじゃない?」
も~、友達はそっけない!
「ん~そうだけどさあ…」
ほんとに怖いと思った。
あんなに優しくて少し筋肉質のかっこいい夏希兄さんが変わっちゃったらって思うと。
怖いよ。
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop