月下の幻影


 案の定、月海は不愉快そうに眉を寄せると、挑むように和成をまっすぐに見つめて答えた。


「私は幼少の頃より、剣を学んでまいりました。それを生かせる職業に就きたかったからです。体力も剣も男に引けは取りません。何なりとお申し付け下さい」


 和成は額に手を当て、目を伏せると軽く嘆息した。


「意気込みは買うけど、女の子がなんでもするなんて言うもんじゃないよ。私が夜伽を命じたら応じるの?」

「そのような命はお断りいたします」


 月海は益々不愉快そうに和成を睨むと間髪入れずに拒否した。


「……あぁ、そう……」


 和成が呆気にとられて、ふと月海の後ろに視線を移すと、塔矢が一生懸命笑いをこらえている。

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