その恋、取扱い注意!
「早く乗れよ。送っていくから」

さっきの会話はなんだったのだろうかと思うほど、ごく普通の湊。
送ってもらわなくてもいいと言おうとしたけど、ちょっと距離があるから、送ってもらえるならヒールを痛ませずに済む。
そう考えて助手席に座った。

ステアリングを握る湊が、不意に口を開いた。

「土産、なにがいい? 買って来てやるよ」

「一番高いやつ」

「がめついの」

湊は私の言葉に笑った。


その夜、お風呂に入っていた私は時計を見て湊を思い出した。
デジタル時計が21時を過ぎていたせいだ。

「湊、もう離陸したかな……」

バスタブで温まりながら、カフェでの事を思い出す。

「どこをどうみたら、私の身体が貧弱だって言うかな~」

湯に浸かっているせいで、友達からは身体の割には豊満だと言われる胸の膨らみが、より膨らんでいるように見える。

湊はたくさんのガールフレンドがいそう……昔からモテてたもんね……女の子は簡単に湊ならと、抱かれそうだから、湊はどこか感覚が狂ってるに違いない。

湊が女の子を抱いているシーンがぽわんと脳裏をかすめ、思いっきり頭を振る。

私ったら、なに意識しちゃってるんだろう。

パタパタと暑くなった顔を扇ぐようにして、バスタブから出た。


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