その恋、取扱い注意!
逃げなきゃ!
そうだ!

久我さんが渡してくれたヘアースプレーを思い出した。

抵抗しながらバッグへ手を伸ばし、ヘアースプレーを取り出した。そして高野先輩の顔に思いっきり吹きかける。

「うわっ!」

口を塞いでいた手が外れる。

目が相当痛いようで、その隙にガクガクしている足を奮い立て、路地から出た。

「くそっ! 待て!!」

怖くて一目散にその場から逃げようとした。
けれど、早く走れない。まるで夢で走っているみたいな――

角を曲がったところで、誰かにぶつかった。

「きゃっ!」

「おっと!」

ぶつかった反動で、後方に倒れそうになった私を支えてくれたのは湊だった。

「ミミ、なにをそんなに慌てている?」

「湊っ!」

怪訝そうに私の背後に視線を向ける湊。

「どうしたんだ? 電話した時商店街を抜けるところだったんだろう? ちょっと遅くないか?」

高野先輩のことを言おうと思った。
けれど、これは警察の方がいい。

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